九州旅客鉄道の観光列車「或る列車」(博多駅~由布院間)乗車記

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2021年11月にリニューアルし、季節の素材を活かしたコース料理を味わえる観光列車に生まれ変わった「或る列車」。なかなか予約が取れませんでしたが、たまたま出張翌日に空きを発見!念願叶って博多駅から由布院までの午前便に乗車することができました。「或る列車」の車体や内装デザイン、食べたお料理、サービス内容まで写真たっぷりでレポートします。

目次

観光列車「或る列車」とは

今からおよそ100年程前の明治39(1906)年、アメリカのブリル社に発注して製造された客車がありました。しかし、発注した九州鉄道が国営化によって消滅すると、実際には走る機会がほぼないまま車庫に放置されて廃車となった幻の豪華列車がありました。そして時を経て、観光列車として復元されたのが「或る列車」です。

もとはJRKYUSYU SWEET TRAINという、列車内でスイーツコースが味わえる豪華列車として運行開始しましたが、 2021年からはお食事メインの列車としてリニューアル。運行区間も博多~由布院間となり、由布院温泉に行く人にも好評のようです。

「或る列車」に乗車してみた感想

「或る列車」乗車の感想
メリット
  • 季節ごとに変わるメニューで何度でも乗車が楽しめる
  • フリードリンクのアルコールやソフトドリンクがどれもおいしい
  • 由布院へ行くのに、ゆふいん号以外の交通手段となる
デメリット
  • 個室が狭い(1号車のほうがおすすめ)
  • 隣合わせる乗客は運まかせ
  • 車窓からの景色は座る側に左右される

乗車してよかったのは、お料理はどれもおいしいものだったこと。いろんな地場のアルコールやソフトドリンクをフリーで頼めたのは満足感高かったです。季節ごとにメニュー内容が変わるので、四季ごとに移ろう車窓の景色も楽しみに別の機会にも乗車したくなります。

せっかくだからとアレコレ頼んでしまいましたが、ワインと柑橘系ジュースが美味しかったです。車販して欲しいなあ~

これまで由布院へ温泉に行く際にはもっぱらゆふいん号を利用していましたが、或る列車という手段が加わったのは嬉しいこと。同じ旅先に向かうにも、移動のバリエーションが増えれば違う列車旅を楽しめます。

ただ、一方で残念だったこともチラホラと。明治時代の豪華列車の復元ということもあり、凝った造りながらも重厚感が個人的にいまひとつ。見どころは多いのですが、イギリスで乗車したプルマンと比較してしまうと……という感じ。

乗車したのは2号車のコンパートメント(個室タイプ)でしたが、個室を仕切る壁が組子でできており。完全な壁で仕切られた個室ではないものの、個室だからと気を許してしまうのか……。廊下を挟んだコンパートメントに座る、関西のマダムの大衆居酒屋のようなマシンガントークと机をバンバン叩きながら盛り上がる様子がとにかくうるさかったです。豪華列車だけに高い運賃を払っているので、雰囲気が台無しでした。

1号車に空きがあったので移動させて欲しくて頼んだのですが、NGでした……

また、車両を無理にセパレートにしている感が否めず、個室もすごく狭苦しくて。組子だけに抜け感がある視界ではあるものの、出入りがちょっと大変でした。

「或る列車」は車窓を流れる九州の自然豊かな景観もウリなのですが、どうしても座る側に左右されてしまいます。私が座っていたホームと反対側のコンパートメントからは滝や雄大な山脈も見えるのですが。乗務員さんが反対側の乗客にも景色を見せようと、断りなく戸を開けてくるのもちょっとなあと。

「開けてもよいですか」と聞いてくれるならまだしもですが……

そんなこんなで総じて満足度は半々。乗車体験的にイギリスが良すぎたのかもしれません。

「或る列車」の運行区間

以前は長崎ハウステンボスなど運行区間が異なっていましたが、現在は博多~由布院の区間を1日に1往復しています。私は博多駅から乗車する午前便に乗車しました。

■2023年9月末までの運行時刻
博多駅 10:58発→由布院駅 14:07着 /由布院駅 15:00発→博多駅 18:03

乗車の予約は公式サイトから行いますが、登録したメールアドレス宛に「【最終旅程表】(確定書面)」が届きます。

【最終旅程表】(確定書面)の文面

「或る列車」の乗車切符は出ないので、駅の自動改札は通らずに駅員さんがいる有人改札へ。届いた「【最終旅程表】(確定書面)」のメールを見せて改札内へと進みます。

博多駅に入ってくる列車の撮影から旅のスタート

5番線に入ってくる列車を待って、30分前からホームにスタンバイしました。

2号車までしかないので、車両はとても短くてかわいい。電車が入ってくる時間より前から乗車の受付をしています。ホームに小さな赤絨毯が敷いてあるので、目印にしてください

人がいない車内を撮影するなら早めにホームへ行って受付を済ませ、乗車する1号車に並ぶのがおすすめです。

2号車に予約をしていても、乗車するのは1号車のここから。真向かいのドアには、かわいいステンドグラスの窓が。

車内に入ると、ステンドグラスの窓下に机があり。車内販売される或る列車限定のグッズが陳列されていました。乗車中、席に伝票を持ってきてもらえるので、欲しいものがあればチェックを入れて乗務員さんに渡して購入できます。

ボールペンが4,000円、グラスが6,000円と全体的にどのグッズも結構いいお値段で、切符代だけでキュウキュウな私はお買い物は断念。でも、或る列車の車両をボトルにしたかわいいお酒は欲しくなってしまいますね。

ここは乗車記念のスタンプ台にもなっています。テーブルにセットしてある記念証をもってきてペタンと。

こういった記念証や箸袋など、旅の記念のアイテムってどうやって持ち帰っていますか? 私が愛用しているのは、キングジムが出しているフラッティというケースです。

薄いのでカバンに入れておくとレシート管理や拝観券、パンフレットを折らずに収納できて便利ですよ。使い方は過去記事でも紹介しているので、ご参考ください。

「或る列車」の車体と外観デザイン

金色をメインとした車体カラーに、黒の唐草模様が入った和を感じさせる外観デザイン。

運行当時のJRKYUSYU SWEET STRAINの文字がはめ込まれたプレート。

このロゴマークはSWEETS TRAINの頭文字を組み合わせているとか。

「或る列車」の1号車 内装デザイン

乗車時の足元にも気になるものが。ちょっとわかりにくいのですが、はめ込まれている金具が外観と同じ唐草の彫金細工でした。細部までこだわりを感じさせます。

1号車は壁がないオープンな車両で、各席はガラス板で仕切られています。明るいメープル調のテーブルと椅子で、モダンな雰囲気。一人で利用もできる2人掛けテーブルのほか、4人用テーブルも。

アーチ型の天井も白いレリーフが施されていたりと、写真を撮りたくなる場所がいっぱいで運行前から大忙しでした。

1号車の後方壁面には、ステンドグラスと組子細工の和モダンな内装デザインを発見。向かいには厨房コーナーがありました。

BARコーナーのカウンターには或る列車の模型のほか、車内で使用されるグラスも展示。ただ、飲み物はすべて席にオーダーを取りに来てくれるスタイルなので、ここを使用することはありませんでした。

さりげなく無印良品の棚が備品に使われていたのを発見。これ、我が家でも一時期常備薬の保管に使っていましたけど、ナチュラルに溶け込んでいますね。

「或る列車」の2号車 内装デザイン

バーカウンターの奥に厨房コーナーがあり、2号車へと続きます。中間位置の床は白と黒のモザイクタイルで、ハイカラな印象。

そしてこれが2号車の入り口。前述したとおり、1号車の開放的な造りと比べると穴蔵のようで狭いのです……。

窓にも組子のサッシとカーテンがはめ込まれていて、圧迫感があるなあと。

出入りするには組子の扉をずらします。2人同時にはできないので、一人ひとり出入りすることに。

テーブル真横に扉が来ますが、雪見格子のように希望の位置にピンを指すと小窓が開くような仕組みです。とはいえ、配膳には不便なので、基本は締め切っていても食事や飲み物が来るたびに扉を開閉することに。

そして2号車後方にはトイレスペース(写真右手奥)が2つあります。個室トイレはとても小さくて、出入りはここもちょっと大変。多目的トイレはさすがに広くとっていました。

女優ライト付きの明るい手洗いスペース。壁の葉っぱのイラスト、なんだか学校や図書館みたい。

「或る列車」で食べたコース料理とドリンク

と、ここまでは内装にイマイチときめかなかった私ですが、メインであるお食事のコースはしっかり堪能させていただきました。お料理は南青山にあるレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフである、成澤由浩氏が手掛けたもの。G20大阪サミットにおける首脳晩餐会で料理を担当された方とあり、列車も楽しみでしたがお料理も期待大。

テーブルにはお箸やお手拭き、記念乗車証のほかオーダーできるドリンクの一覧もサーブされていました。

オーダー可能なドリンクメニューはこちら。九州の地のものがズラリと並び、制覇したくなります。

アルコール大好きなので、迷わず赤のスパークリングワインからスタート。宮崎の都農で作られたワイン、とても美味しゅうございました。

一皿目は前菜「桜舞う、九州の海と大地」。鹿児島県産の白姫エビとそら豆を使用した前菜で、茶碗蒸しを土台にしたムースでした。エビやたけのこ、スナップエンドウ、ラディッシュを色鮮かに盛り付けています。桜の花びらの塩漬けをふりかけてから食べましたが、上品なかつおだしの風味が全体をまとめていておいしかったです。

二皿目は魚料理「桜鯛と春のリゾット、サフラン風味のグラムチャウダー」。福岡産の金時人参や佐賀産のアスパラ、長崎の桜鯛が使用されているそうです。お米は食感を感じられるよう、少し固めに炊き上げたと説明がありました。男性シェフって食感にこだわる人が多い気がします。

このサフラン風味のクラムチャウダーが美味しくて美味しくて。一番印象に残ったお料理でもありました。二枚貝が苦手で、クラムチャウダーは最たるもの。でも、サフランが臭みを消してくれてこんなにおいしい旨みのあるスープになるとは、と感激しました。パンに浸して食べたりしたかった~

三皿目は肉料理「牛ほほ肉とミモザ咲く菜園仕立て」。中央にしっかりと裏面だけパン粉をつけてローストし、香ばしさを出した牛ほほ肉の煮込みと周囲に福岡の人参やたまご、宮崎のジンゼチーズを散らして華やかな盛り付けに。お肉はとても柔らかくてとろけるよう。ロースト臭も程よく、食欲をそそりました。

スイーツの一皿目は「あまおうミルク」。福岡の苺・あまおうと生クリーム、熊本産の牛乳を使ったパンナコッタです。苺は生とフリーズドライを使い、食感を楽しむように仕立てていました。アルコールを飲み続けていたので、ひんやり系スイーツがとても嬉しい。しつこい甘さもなく、苺の甘みを堪能できました。

スイーツ2皿目「ミニスイーツ」。福岡の抹茶のわらび餅、熊本のブラッドオレンジとデコポン、不知火を使った甘酸っぱいタルト、バスクチーズケーキの3種が盛り合わせになっていました。オレンジマーマレードが苦手なので、タルトはちょっと。でもバスクチーズケーキは濃厚でとてもおいしかったけど、九州産の食材は記載がなく何でバスクチーズケーキだったのか謎でした。

飲み物すべてを制覇はできませんでしたが、熊本ワインや都城の赤ワイン、星野製茶園の紅茶、佐賀 田島柑橘園の完熟みかんジュースをいただきました。特にこのみかんジュースは濃厚な味わいかつ、酸味が少なくて。よく熟れたみかんそのものを味わっているようでした。

九州のおしいものをたっぷり堪能できて、大満足でした!

途中「田主丸駅」で長めの停車

由布院駅に向かう途中にある、福岡県久留米市の「田主丸(たぬしまる)駅」で長めの停車。ここはカッパの里として有名らしく、駅舎がなんとカッパ!

地元の方がホームに立ち、特産品を販売したり駅構内にある物産市をのぞいたりと自由時間がありました。

地域の食品や工芸品など特産物が並び、ちょっと買物に寄れるのはありがたい。

ただし駅前はすぐに住宅と空き地なので、駅の中だけの散策になります。

食後は車窓からの景色を堪能

食中・食後は雄大な自然の景色を車窓から眺めて、寛いだ時間を過ごしました。名所は車内放送でアナウンスがあるため、とくに予備知識がなくても大丈夫。往路で景色を堪能するなら、1号車の1~4番席、2号車の21~27番席がおすすめ。ただし、電車の速度を緩めてくれるわけではなく、一瞬で景色は流れていってしまうのが残念でした。

列車の目的地「由布院駅」で下車

およそ3時間の列車の旅は由布院駅に着いて終了。このまま由布院で立ち寄り湯を利用し、リフレッシュしたら夕方のゆふいん号で博多に戻る予定でしたが、17時からWEB会議が入ってしまい。大慌てで反対側のホームに行き、特急ゆふで博多へ戻ることに。

場所に縛られない働き方、たまにはこんなこともあります(涙)

列車そのものは見どころも多く、凝った造りには違いないのですが。欧米の豪華列車と比べてしまうとチープな感じが気になってしまったのが残念でした。でも、お料理はとても美味しかったです。九州のおいしい食材やドリンクを味わえるまたとない機会なので、お食事メインにまた乗車しようかなと考えています。

ご予約は公式サイトからどうぞ。

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