広州にある歴史的な建造物・陳氏書院。広州に来たら中山記念堂と並んで定番の観光スポットだそう。古い時代の建築物が好きな人はもちろん、工芸品に興味のある人なら絶対ハズレないオススメの施設でした。
「陳氏書院」の装飾は精巧すぎて気が遠くなりそう
日本の日光東照宮にある陽明門。別名で「日暮の門」ともいいますよね。これは「日の暮れるのも忘れて、見とれてしまうほどりっぱな門」であることからついた別称です。陳氏書院は、言うなれば中国版・日暮の門! 至るところに凝りに凝った細工がほどこされていました。
これが書院の入り口。丁寧に手入れされた花の鉢がとてもキレイ~。
そして上に目をやると陳氏書院の代名詞的な精巧な装飾群が目に飛び込んできます。
どこをどう写真に撮ったものやら、興奮のあまり、右往左往。。
こんな細工が、屋根上にズラ~~~っと続いているのです。望遠レンズでおさめましたが、人形一体一体の顔の表情まで違っているんですよ、これ。
アップで撮ってみましたが到るところがこんな感じです。どこも全部違う細工なので、撮っても撮っても撮りきれません。 ガイドブックによれば、陳氏書院は別名・陳家祠とも呼ばれる清朝末期の1890~1894年に建築された民間の建物。嶺南地域の民間建築と装飾工芸の集大成といわれているそうな。ここに残る細工物は「三彫、三塑、一鋳鉄」(木彫、石彫、レンガ彫の三彫。泥像、陶像、塑像の三塑、鋳鉄工芸の意)として中国国内にその名が知られているとか。
敷地面積は15,000平方メートルで、すべて南向きになっています。「陳」姓を名乗る人々の一族の祖先を祭祀の場所として、また一族の子弟を教育する目的で建てられました。文革の時代には、なんと印刷所として利用されたんですって。
「陳氏書院」が印刷所として使われた頃の内部の写真も展示されていました。外観は保存されているとはいえ、内部はかなり損傷が激しかったようです。しかし、当時は前時代的なものは破壊対象であったため、中国の貴重な文物が失われました。「陳氏書院」、よくぞ破壊行為をされずに残っていましたね。
「三国志」の物語を描く「陳氏書院」の彫刻群
書院内部の彫刻は、天井から壁から至るところで見ることが出来ます。テーマは花鳥風月のほか、広く親しまれている古典「水滸伝」や「三国志」を題材にしたものも。ひとつひとつ丹念に見ていくと数時間かかりそうです。
こうした展示ってたいてい柵を設けて近くに寄れないようになっていたりガラスやアクリルで覆われているものですが、一切そうしたものはナシ。大容量のSDカードを多くもってきてよかったな~と思うほど、あらゆる角度で撮影しまくってきました。
「陳氏書院」では定期的に補修もされているので、どこも色鮮やかでキレイな状態。
シノワズリーモダンが好きなので、中庭の椅子に座って半日でもボ~っとこの空間に身を置きたくなりました。
最近になって見つかった「陳氏書院」の廟
ここは2015年になって見つかった廟を組んだ部屋。いくつもある部屋の整理をしていたところ、偶然出てきたものを組み立てたら廟だったという、なんとも大らかな話です。
展示の内容含め深く見聞したくて、ガイドさんと一緒に来ていたので展示の解説もすぐに訳してもらいました。ガイドさんいわく「まだ全部の部屋を整理していないらしいから、まだまだこういうものが出てくるかもねー」とのこと。
仰天の工芸品が並ぶ部屋もある
建物の内部は中庭あり、土産物の陳列スペースあり、当時の家具をレイアウトした部屋あり。そして、気の遠くなるようなこまかーい細工を見せつけられる工芸品の展示スペースがあります。そのため、「広東民間工芸博物館」という別名もあるんだそう。 どうですか。この焼き物群。
京劇の一幕を再現した陶器の像。
色使いもさることながら、この微妙な動きや服のひだなどお箸の国の手先の器用さは目を見張るものがあります。
これは木彫の細工。金粉を塗って仕上げてありました。
ほかにも刺繍など、買ったらいくらになるんだろうと思うような至極の工芸品がギッシリと展示されていました。
「陳氏書院」には当時の暮らしを再現したスペースも
19の庁堂の中には、家具や人形を置いて当時の生活様式を再現した展示もありました。
この展示は柵が設けられて、遠くからの観覧でした。
人形が生々しすぎて、見学していた子供が泣きだす一コマも。
決して広大な敷地ではないのに、「陳氏書院」は見どころが多すぎて。中庭で一休みしながら丹念に見て回りまわって、所要時間はじっくり2時間以上。広州に来たら観てソンはないスポットだと思われます。
この施設はここにあります
陳氏書院(陳家祠)
住所:中国 Guangdong, Guangzhou, Liwan, 中山七路恩龙里34号
中国語表記:陳家祠