有名な「食は広州にあり」という言葉。食いしん坊には「広州は天国のような土地に違いない」と想像をたくましくし、テンション高く広州へと旅立ってみたものの。総じてどこの店もハズレはなく、さりとて「これは!」という大当たりもなかった印象です。
ただ朝飲茶なる文化があって広州の名店と名高い「広州酒家」の飲茶メニューが美味しかったので、備忘録的にまとめます。
地元ではハイクラスらしい一流店の飲茶を堪能
飲茶発祥がこの広州。朝から通うお気に入りの店に並び、ゆっくりとお茶を味わいつつ新聞を読みながら胃を満たすそうなんです。ホテルから徒歩県内にあった広州酒家は、とりわけ朝飲茶の有名店。開店前から並ぶ人も多く、郷に入っては郷に従えで開店前からスタンバイしてみました。
店はビルの3階にあり、朝9時になると我先にと待機していたお客さんが一斉にダッシュ。まるでディズニーランドの開門時のスタートダッシュのようです。小型のバンが停車していましたが、観光客の朝食会場としても利用されているそうです。
店頭には店名がピッカピカの金文字で掲示。
奥行きのある高級感漂う広い店内。大型ビジョンでは朝のニュース番組を放映しています。
開店して30分もしないうちにほぼ満席状態になりました。地元の常連さんはいつも決めているお気に入り席があるらしく、その確保のために小走りで入店されるそうです。
独特のオーダーシートで注文方式は翻訳アプリで凌ぐ
広州の飲茶は、オーダーシートに書かれたメニューの中から好きな物を選んでチェックマークを入れて注文する仕組みです。当然すべて中国語で書かれているのですが、物によってはなんとなく理解できるものも。
小籠包とか「羊」「鮑」「牛」あたりは理解できるけど、ほかのはもうお手上げ。致し方なく、翻訳アプリで入っている材料だけでも割り出して料理を想像して注文。「肠粉」はモチっとした米の粉の皮で巻いた蒸し物。「包」は小籠包のような包んだ蒸し物、「馒头」はまんじゅう、「烧卖」はシューマイ、みたいな法則だけでも覚えておくとわかりやすいかも。
あとは過去にこのお店に来た人のブログやレビューの写真を見せると、お店の人が同じものにチェックしてくれてラクチンでした。
チェックを入れたものが通ると、このような伝票がオーダーシートに留められます。
初めて食べる肠粉の料理。シャンサイと黒酢の酸味でサッパリした味わい。米粉の皮はツルツルなので食欲がないときでも食べられそう。なお、このブログの写真を見せてオーダーしても店員さんに通じると思います!
盛り付けの美しさとかは無視したような、肉団子(笑)。デローンとした茶色ものは湯葉でした。ジューシーな豚の肉団子に刻みパクチーが入っていました。肉の臭みをうまくパクチーが消しています。
絶対ハズレなしの小籠包。めちゃくちゃおいしかった!
こんなふうに、蒸籠によってはアツアツの状態を保つようサーブしてくれます。
中華まんですね。中には甘い味付けの刻んだ角煮っぽいものが詰められいました。フカフカで美味しいのですが、パンチがあるので全体の注文量とのバランスをみながらオーダーしてください。
追加注文したエッグタルト。今まで食べたエッグタルトの中で一番美味しかった! 絶妙な甘さとパイのサクサク感、やさしい玉子味のカスタードに感動。滞在期間3日間のうち、毎日オーダーして食べました。
結局、毎日「広州酒家」に通い詰めた理由
広州酒家には2泊3日の滞在中、毎日通いました。味が美味しかったのはもちろんですが、意外と朝ごはんを食べられる観光客向けの店が広州に少なかったことも原因です。3日目は他の店の飲茶も食べてみようと歩きまわったのですが開店時間が10時過ぎだったり、地元の通勤客がダッシュして食べていくようなお店が多く。ゆっくりと飲茶を楽しもうと思うと、ここしかなかったというのもホントのところ。
なので、写真を見返してみると結構いろんなメニューを頼んでいたことがわかります。
これはエビの春巻き。プリップリのエビにサクサクの皮がベストマッチ。あっさり目の鶏ガラベースの塩味でした。
小さな鮑がのったシュウマイ。オイスターソースがほどよく絡んでいいお味でした。
趣向を変えて、野菜が入った朝粥をオーダーした日もありました。四角いパイはドリアンの餡。臭みはちっともなく、ねっとりしたウリ科のフルーツっぽい味で美味しかったです。
これは大失敗のオーダー。見て分かるとおり鳥の手の部分です。日本人が豚足を食べるように、中国ではポピュラーな料理みたい。特にコラーゲンたっぷりなので女性に人気だそう。かじるとスルスルと皮がむけてコリコリとした食感。なにせグロテスクなので目をつぶって清水の舞台から飛び降りるつもりで食べました。カニの爪って翻訳アプリでは表示されたんだけどなあ・・・
飲茶なのにお茶にまったく触れていませんでしたね。お茶は20種類近くある中から最初に選んで注文します。ゆっくりとお茶を飲んで待っている間に点心が出てくる流れ。常に下の固形燃料が燃えていてアツアツのお湯を自分で注ぎ、何杯でも飲んでいました。鉄観音とか黄金桂とか日本でも見かけたことがあるような茶葉の名前が並んでいるので、わかるものでオーダーしてみました。菊花茶も菊の花びらが入って爽やかな飲み口でしたよ。
例の言葉も額に収まって鎮座。外国からのお客さんも多く、店員さんもみんなフレンドリー。地元の人に言わせると「こんな高い店に毎日行ったの?」と笑われましたが、お茶と点心3~5個頼んで2500円くらい。でも、サービスといい食事内容といい、支払う価値はあるように感じました。