仁寺洞の北に位置する北村エリアには、古い伝統的な家屋が今もたくさん残る地区「北村韓屋村」があります。ポツポツ残っているというより、エリア丸ごと時が止まっているような感じ。現役の民家もあるなか、一部ではカフェや宿泊施設、家屋の内部をガイド付きで公開している物件も。今回お邪魔したのは「尋心軒」という建物。有料で建物内部をガイド付きで見学させてくれます。見学後は縁側でお茶を頂けるサービスもありました。
「尋心軒」はまさかの貸し切り状態の見学
入るなり、門をガチャンと閉めてしまってロックをしたガイドさん。
ここは少人数制の見学方式をとっているそうで、じっくり見てもらうために入場人数を制限しているそう。それにしても、この時の見学者は私だけ! なんと贅沢な体験なのでしょうか。
ちなみにガイドさん、日本語がとっても堪能。質問攻めの私に嫌な顔ひとつせず、丁寧にわかりやすく解説してくださいましたよ。
まずは玄関から見学スタート。建物の名前の「尋心軒」は“気が向いたらここにおいで”の思いからつけた名前だそう。本来の意味は“心ここにあり”。廃れゆく韓屋の伝統を残すべく、3年がかりで職人たちが作った建物だとか。
思いのほかモダンだった「尋心軒」の内部
日本では家に上がるとき、後ろ向きで上がりますが「韓国だと逆なんですよ。後ろに靴を脱ぐと靴が出掛ける体勢になってしまうので、よくないんです」。
これが韓国での正しい靴の揃え方なんですって。
開放的な玄関口も、天気の悪い日や夜は扉を閉めます。日本だと戸袋に戸を収納するけれど韓屋は天井にフックがあって、ここに扉を収納していました。
京都の町屋みたいですね。
木材は古民家の資材を再利用しているところも多いそう。玄関をあがると、次にキッチンへと案内されます。
ちょうど玄関の奥にあたりますが、陽の光もたっぷり入って明るいお部屋でした。タイル張りの可愛らしいキッチンと、そのとなりには小さなダイニングテーブルが。天井まで凝っています。
この建物は個人の別荘で、特別に公開をしているんですって。持ち主が海外在住歴が長く、インテリアや装飾に海外の影響があるとガイドさん。
それでも内部には外国人がイメージするこんなお部屋も。こちらは客間でした。
この建物の特徴として、照明があります。なるべく余計なものは排除するため、照明も日本でいうところの長押に隠してしまっています。
バスルームなど水回りはキッチン同様、現代的な仕様でタイル張りでした。
内部には入り口のトビラと同様、金具がついています。部屋を広く使うときにはすべて天井にあげて、2つの部屋をひとつにする仕掛け。日本の和室と同じですね。
人が大勢くるときは、このお部屋をすべてつなげて広く使うそうです。
螺鈿の座卓の上にのっているのは、1000年前の高麗白磁だと説明されたけど、さすがにそれはないような。貴重なので、こんなに無造作に置いておくかなあと。
窓から見える風景も素晴らしかったです。高台にあるので、晴れた日にはソウルのビル群も見えるとか。この日はあいにく雨が降ったりやんだり。でも、手前の景色も古い家屋の屋根瓦が見渡せて風情がありましたよ。
ガイドさんの案内で立ったり座ったり。日本も庭を見る人の視線の位置を意識していますが、ここでも座ったときの景色を計算しているそうです。
続いて、縁側へ。入り口の脇に位置します。
ここからの見晴らしもなかなかでした。格子戸の装飾も凝っているので、興味が尽きません。
最後は庭を眺めながらお茶をいただく
ひととおりの説明が終わったら、入り口の板の間に出された座卓でお茶を頂きました。
特にデザートがつくとか、そんなものじゃないけれどとっても優雅な気分に浸れます。外国で観光に出ると色んなとところを限られた時間でまわるので、せわしなくなってしまいがち。でも、たまにはこんなふうにゆっくりとひとつのスポットに留まってみるのもいいなあと。
気になったカメの装飾の謎
屋敷内に動物の装飾が結構あって。これはシーサー?のような獅子の置物ですが、なかでも多かったのがカメ。
入り口のカメの置物のほかにも……
扉の装飾にもカメ! なんでこんなにカメが多いのか聞いてみました。ガイドさんの説明によると、亀は一度噛み付いたら離れない性質があるので、屋敷を守って離れないと考えられているそうで。それってもしかして、亀じゃなくてスッポンなのかも、と思った次第でした。
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