携帯するためのソーイングセットって、昔からある道具だけど無地のプラスチックケースばかりで味気のないものが多かった気がします。持つ楽しさがないから、結局は持ち歩かなくなっていく。私にとって携帯用のソーイングセットとは、そんな道具のひとつでした。中川政七商店の見本市で見つけた「TO&FRO」のソーイングセットは、その真逆。見た目からしてとびきりかわいく、かつムダのない設計で入れられた道具も伝統の技が光る逸品とくれば持たない理由が見当たりません。
ソーイングセットってマストじゃない荷物になりがち
旅行にソーイングセットを持っていくか、持っていかなくてもいいか。わりと悩んだ挙げ句に「不要」の判断をしてしまうのがソーイングセット。それでも過去に次のようなトラブルを体験しました。
事例1
飛行機のなかでオーダーメイドで作ってもらったスカートの生地の繋ぎ目が大きくほつれ、たまたま乗務員さんが持っていたソーイングセットをお借りして修繕。
事例2
観光中に遺跡を囲う網のフェンスから、飛び出た針金がワンピースの生地をひっかけて大きく裂け目ができた。ひとり旅ではソーイングセットを借りる相手もなく、着替えはホテルに置いていたので仕方なく、路上で売っていたお土産物の服を買って着替える。
これまで公私で年間100回以上も旅をしてきた経験から、こうしたトラブルは珍しいと思います。とはいえ、服が破れてしまうと観光地ならば買い換えるという対処できても場所によってはそれすら難しいときもあります。
自分が行く場所は代替えの服が調達できるところか、そうでないか。商業地であっても万全を期すのか。個人の判断になりますが、備えあれば憂いなし。私はソーイングセットは持っておくと安心のトラベルグッズだと思っています。困っている人がいたら使ってもらうこともできますしね。
「TO&FRO」のソーイングセット概要
持って歩きたくなるような道具なら、ちょっと億劫な荷物でも前向きになれるもの。「TO&FRO」のソーイングセットはなにより、このかわいいビジュアルが持って歩いてわざわざ人に見せたくなってしまいます。これだけ小さなサイズなので、荷物を増やすことに躊躇することもありません。
「TO&FRO」のミニソーイングセット 商品概要 | |
大きさ | 横50mm × 高さ60mm × 奥行き20mm |
重さ | 19g |
生産 | 日本 |
素材 | 桐(外箱) |
内包物 | 針山、目細針5本、針通し、ハサミ、糸巻(2色) |
1575(天正3)年に創業した、石川県金沢市で針の製造する目細八郎兵衛商店とコラボレートしたアイテムです。普通の針よりも滑らかな針先が特徴で加賀藩主から「めぼそ」と名を授かったそう。この針先は生地通りがよいので生地を傷めず縫えるといいます。
箱の底の敷布や針山の生地はテキスタイルメーカー「TO&FRO」のオリジナル生地を使用しています。
「TO&FRO」のソーイングセットを解剖する
桐箱を開けると、なかには小さな針道具が詰められています。私がもっているのは水色の針山ですが、ほかに赤やペパーミントもあります(※ランダム封入なので色を決めて購入はできません)。
おもしろいなと思ったのが、箱の蓋につけられた磁石。先の尖っている糸切りバサミは、開閉時にポロッと落ちたら危ない思いをしそう。
磁石にしっかりくっつけておけば、そのリスクを軽減してくれる点もよく考えられているなと関心します。
針は丈夫な紙に二重で梱包されています。
生地の持ち替えでちょっと針を休めるときや、玉止めをして糸を切るときなど、あるとうれしい小さな針山。
私は若干空きのあるこのスペースに、スナップボタンなどの小さなパーツも詰めています。いつも縫い物で指ぬきを使う人は、入れておいてもよさそう。
箱はしっかり閉じるものの、無造作にカバンに入れると中でほかの物とぶつかって開いてしまう可能性も。私は小さな秩父銘仙のポーチに入れて旅行時に携帯しています。ヘアゴムなどで巻けばそのままカバンに入れてもよいと思います。
私なりの使ってみた感想まとめ
「TO&FRO」のソーイングセットは中川政七商店の見本市にお呼ばれした際、会場でひと目見て買うのを決めたものでした。もともとミニチュアには惹かれやすいタチですが、これは中身の道具類も伝統に裏打ちされた実力派。これをきっかけにして家の裁縫道具入れのなかに、目細八郎兵衛商店の針を追加するようになったほど針の滑りのよさは病みつきになります。
19gと軽量で小型なので、旅行の荷物に加えても邪魔にも負担にもならないはず。もちろん、旅行だけでなく普段のカバンの中に常備しておいても◎。一度手にしたら、長く長く使い続けていきたいと思えるアイテムですよ。